ABOUTこの問題について
次の文章を読んで、問1〜4に答えなさい。(配点30点) 次の文章は、主人公の Oliver Barret が交際相手の Jennifer と共に彼女の父親に会いに行く場面を描いたものである。
注:debacle =完全な失敗 / bucking =真っ向から立ち向かう、反抗する / bolster =強める / incredulous =容易に信じない / the Eleventh Commandment =絶対に守らなければならない暗黙のルール / a few bucks =いくばくかのお金
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第1文
There remained the matter of Cranston, Rhode Island, a city slightly more to the south of Boston than Ipswich is to the north.
There 構文の倒置。V=remained / S=the matter of Cranston, Rhode Island / 同格=a city slightly more to the south of Boston than Ipswich is to the north(比較の than 節内は Ipswich is (to the north of Boston) の省略)
クランストン(ロードアイランド州)という問題が、まだ残っていた。ボストンから見て、イプスウィッチが北にあるよりも少しだけ遠く南にある町である。
・There remained 〜 は There is 構文の remain 版で、「〜が(まだ)残っていた」。remain は存在を表す自動詞なので There 構文に入れる。倒置なので remained の後ろが主語。
・a city 以下は Cranston と同格。カンマ+名詞句で直前の固有名詞を説明する典型的な形。
・slightly more to the south of Boston than Ipswich is to the north は「ボストンの南へ、イプスウィッチが北へ離れているよりも少しだけ多く(離れている)」。than 節では to the north of Boston の of Boston が省略されている。
・冒頭でいきなり地名を2つ並べ、「北の実家(Ipswich=オリヴァーの両親)」と「南のクランストン(=ジェニーの父)」を対比させている。前の場面で自分の親への紹介が失敗したことを受けた書き出し。
remain 残る、残存するthe matter of 〜 〜という問題、〜の件slightly わずかに、少しだけto the south of 〜 〜の南方に
第2文
After the debacle of introducing Jennifer to her potential in-laws ("Do I call them outlaws now?" she asked), I did not look forward with any confidence to my meeting with her father.
副詞句=After the debacle of introducing 〜(of は同格の of、動名詞句が debacle の内容)/ 挿入=("Do I call them outlaws now?" she asked) / S=I / V=did not look forward to / O=my meeting with her father / 副詞句=with any confidence
ジェニファーを義理の親になるはずの人たちに引き合わせるという大失敗のあと(「今はもう無法者(outlaws)と呼べばいいのかしら」と彼女は言った)、私は彼女の父親との対面をこれっぽっちも自信をもって待ち望む気にはなれなかった。
・the debacle of doing 〜 の of は同格。「〜するという失敗」。
・look forward to は to が前置詞なので後ろは名詞(動名詞)。ここでは my meeting with her father が目的語。not 〜 with any confidence で「まったく自信がない」(any は否定文で全否定を作る)。
・in-laws(義理の親族)を outlaws(無法者、ならず者)ともじったジェニーの冗談。in と out の対比による語呂合わせで、彼女の気の強さとユーモアを示す。訳では意味を補って構わない。
・potential in-laws は「(結婚すれば)義理の親になるはずの人たち」。この時点ではまだ婚約段階であることを示す。
debacle 大失敗、総崩れintroduce A to B AをBに紹介するin-laws 義理の親族、姻戚outlaw 無法者、ならず者look forward to 〜 〜を楽しみに待つconfidence 自信、確信
第3文
I mean, here I would be bucking that lots of love Italian-Mediterranean syndrome, compounded by the fact that Jenny was an only child, compounded by the fact that she had no mother, which meant abnormally close ties to her father.
S=I / V=would be bucking / O=that lots of love Italian-Mediterranean syndrome / その O を後置修飾する過去分詞句が2つ並列=compounded by the fact that 〜(同格の that 節)×2 / 最後の which は前の the fact that she had no mother を先行詞とする非制限用法の関係代名詞
つまりだ、ここで私は、あの愛情たっぷりのイタリア系地中海的症候群と真っ向からぶつかることになるのであり、しかもそれはジェニーが一人っ子だという事実によって、さらには彼女に母親がいないという事実によって、いっそう厄介になっている。母親がいないということは、父親との結びつきが異常なほど強いということを意味していた。
・I mean は話し言葉のつなぎで「つまり」「要するに」。この小説は主人公オリヴァーの一人称の語りで、口語表現が多用される。
・would は過去から見た未来(時制の一致による will の過去形)。「これから〜することになるだろう」。
・that lots of love Italian-Mediterranean syndrome は名詞を丸ごと形容詞のように使った口語的表現。that は「例のあの」と読者に共有知識をほのめかす用法。
・compounded by 〜 は「〜によって(さらに)悪化した、こじれた」。同じ形を2回繰り返すことで、障害が積み重なっていく感じを出している。
・the fact that … の that は同格。関係代名詞ではないので、that 節の中は完全な文。
・which は非制限用法で、直前の「母親がいない」という内容を受ける。
I mean つまり、要するにbuck 真っ向から立ち向かう、反抗するsyndrome 症候群compound (問題などを)悪化させる、複雑にするan only child 一人っ子tie(s) 結びつき、絆abnormally 異常に
第4文
I would be up against all those emotional forces the psychology books describe.
S=I / V=would be up against / O=all those emotional forces / その後ろに目的格の関係代名詞(which/that)が省略された関係詞節=the psychology books describe
私は、心理学の本が書き立てているあの手の感情的な力のすべてを相手に回すことになるのだ。
・be up against 〜 は「〜に直面する、〜を相手に苦戦する」。困難な相手に立ち向かうニュアンス。
・forces と the psychology books の間に目的格の関係代名詞が省略されている。〈名詞+S+V〉が続いたら関係詞の省略を疑う。describe の目的語が欠けていることが決め手。
・those は前文の「一人っ子」「母子家庭」「父娘の強い絆」を指し、心理学の本に出てくる典型例だと自嘲している。
be up against 〜 〜に直面する、〜を相手に苦戦するemotional 感情的な、情緒のforce (心理的な)力、作用describe 述べる、記述する
第5文
Plus, the fact that I had no money.
動詞のない名詞句だけの一文(省略文)。前文の I would be up against 〜 を受けて、その目的語をもう一つ付け足している。the fact that 〜 の that は同格。
おまけに、私に金がないという事実もある。
・Plus は口語で「その上、おまけに」。文頭に置く接続詞的な用法。
・完全な文にすれば I would also be up against the fact that I had no money. となる。あえて名詞句で切ることで、ダメ押しの一撃という語りのリズムを作っている。
・この「金がない」が次の段落全体(もし自分が貧しいイタリア系の若者だったら、という思考実験)の出発点になる。
plus その上、おまけにthe fact that 〜 〜という事実
第6文
I mean, imagine for a second Olivero Barretto, some nice Italian kid from down the block in Cranston, Rhode Island.
命令文。V=imagine / 副詞句=for a second / O=Olivero Barretto / 同格=some nice Italian kid from down the block in Cranston, Rhode Island(目的語が長いため副詞句 for a second が先に置かれている)
つまりだ、ちょっとオリヴェーロ・バレットという男を想像してみてほしい。ロードアイランド州クランストンの、同じ通りの先に住んでいる、感じのいいイタリア系の若者だ。
・Olivero Barretto は自分の名前 Oliver Barrett をイタリア風にもじった架空の人物。「自分がもし平凡なイタリア系の若者だったら」という仮定の思考実験を始める合図。
・imagine for a second O の語順に注意。目的語が同格句を伴って長いので、短い副詞句を動詞の直後に置いている(重い要素は後ろへ=end-weight の原則)。
・some は「どこかの、なんとかいう」というぼかしの用法。「ある感じのいいイタリア系の若者」。
・down the block は「同じ街区の先の方の」。近所に住むごく普通の若者、という含み。
for a second ちょっとの間some 〜 (不特定の)ある〜、なんとかいう〜kid (口語)若者、やつdown the block 同じ通りの先に
第7文
He comes to see Mr. Cavilleri, a wage-earning pastry chef of that city, and says, "I would like to marry your only daughter, Jennifer."
S=He / V1=comes(to see 〜 は目的を表す不定詞)/ O=Mr. Cavilleri / 同格=a wage-earning pastry chef of that city / and / V2=says / O=引用文
彼はカヴィレーリ氏——その町で賃金をもらって働く菓子職人だ——に会いに来て、こう言う。「お嬢さん、ジェニファーさんと結婚させてください」。
・仮定の話なのに現在形 comes / says が使われている。物語現在(historic present)で、想像上の場面を目の前で起きているように生き生きと描く手法。
・a wage-earning pastry chef は「(自営ではなく)雇われて賃金を得ている菓子職人」。ジェニーの家が裕福でないことを示す。オリヴァーの父が大富豪であるのと対照的。
・I would like to do は I want to do の丁寧形。目上の人に切り出す場面にふさわしい。
・your only daughter, Jennifer も同格。「一人娘であるジェニファーさん」。
come to see 〜 〜に会いに来るwage-earning 賃金を稼ぐ、給料取りのpastry chef 菓子職人、パティシエwould like to do 〜したいのですが(want to の丁寧形)
第8文
What would the old man's first question be?
疑問詞 What が補語(C)になる疑問文。C=What / V=would … be / S=the old man's first question
その老人が最初に発する質問は、いったい何だろうか。
・What is S? の型で、What が be 動詞の補語。would は「(仮に〜なら)〜だろう」という仮定法的な推量。
・the old man は Mr. Cavilleri を指す。親しみと軽い揶揄を含む口語表現。
・読者に問いを投げかけ、答えを次で示すという構成。第8文(問い)→第9文(除外)→第10文(答え)という流れを押さえると論理が追いやすい。
the old man (口語)親父さん、じいさん
第9文
(He would not question Barretto's love, since to know Jenny is to love Jenny; it's a universal truth.)
主節=He would not question Barretto's love / 従属節(理由)=since to know Jenny is to love Jenny(S=to know Jenny の不定詞句 / V=is / C=to love Jenny の不定詞句)/ セミコロン以下=it's a universal truth(補足)
(彼はバレットの愛情を疑いはしないだろう。なぜなら、ジェニーを知ることはジェニーを愛することだからだ。それは万人に当てはまる真理である。)
・question は動詞で「疑問視する、疑う」。名詞の「質問」(前文)と品詞を変えて重ねている点に注意。
・to know Jenny is to love Jenny は不定詞句が主語と補語の両方に立つ形。To see is to believe.(百聞は一見に如かず)と同型の、格言めいた言い回し。
・全体が括弧に入っているのは、本筋(金の話)から一時的に外れる注釈だから。恋人を惚気ながら本筋に戻る、という語り口。
question (動)疑う、疑問視するsince 〜 〜なので(理由)universal 普遍的な、万人に共通の
第10文
No, Mr. Cavilleri would say something like, "Barretto, how are you going to support her?"
S=Mr. Cavilleri / V=would say / O=something like 〜(引用文が like の目的語)。引用文内は疑問詞 how + be going to の疑問文。
そうではなく、カヴィレーリ氏はこう言うだろう。「バレット君、君はどうやって娘を養っていくつもりかね」。
・No, は直前の想定(愛を疑うこと)を打ち消して「いや、そうではなく」と本命を出す合図。
・something like 〜 は「〜のようなこと」。発言を一字一句ではなく趣旨として引く言い方。
・support はここでは「(経済的に)養う、扶養する」。この語が下線部(1)の the opposite を読み解く鍵になる。「夫が妻を養う」という前提がここで示されている。
・be going to は話し手の頭の中にある予定・見込みを問う形。「どうするつもりか」。
something like 〜 〜のようなことsupport (経済的に)養う、扶養するbe going to do 〜するつもりだ
第11文下線部(1):問1で内容説明
Now imagine the good Mr. Cavilleri's reaction if Barretto informed him that the opposite would prevail, at least for the next three years: his daughter would have to support his son-in-law!
命令文。V=imagine / O=the good Mr. Cavilleri's reaction / 条件節=if Barretto informed him that 〜(inform A that 〜 の型。仮定法過去で、実際にはありえない想定)/ コロン以下=that 節の内容を言い換えた同格的な説明
さて、もしバレットが彼に、少なくともこの先3年間は逆のことが通用するのだと告げたとしたら、あの善良なカヴィレーリ氏がどんな反応を示すか想像してみてほしい。つまり、娘のほうが婿を養わなければならなくなる、というのだ。
・下線部(1) the opposite の内容が問1。直前の第10文「how are you going to support her?(男が女を養う)」を受け、その逆=「娘(妻)が婿(夫)を養う」こと。コロン以下がその答えを自ら明示している。
・inform A that 〜 は「Aに〜と知らせる」。tell と違い、やや改まった通告のニュアンス。
・if 節が informed(過去形)、主節に would がある仮定法過去。現在の事実に反する想定を表す。
・prevail は「(規則・状態などが)行き渡る、通用する、優勢である」。ここでは「そういう状態が成り立つ」。
・the good Mr. Cavilleri の good は「善良な、お人好しの」で、皮肉まじりの親しみを込めた形容。
・at least for the next three years は、オリヴァーがロースクールに在学する3年間、ジェニーが働いて家計を支えるという事情を指す。
reaction 反応inform A that 〜 Aに〜と知らせるthe opposite 反対のこと、逆prevail 行き渡る、通用する、優勢であるson-in-law 娘の夫、婿at least 少なくとも
第12文
Would not the good Mr. Cavilleri show Barretto to the door, or even punch him out?
否定疑問文(修辞疑問)。V=Would … show / S=the good Mr. Cavilleri / O=Barretto / 副詞句=to the door / or even / V=punch / O=him / 副詞=out
あの善良なカヴィレーリ氏は、バレットを戸口へ送り出す(=追い返す)のではないか、いや、それどころか殴り倒しさえするのではないか。
・Would not S V …? という否定疑問の形は修辞疑問で、「きっと〜するに決まっている」という強い肯定を含意する。書き言葉では Wouldn't 〜? と短縮せずに書くと格式ばった響きになる。
・show A to the door は文字どおりには「Aを戸口まで案内する」だが、ここでは「体よく追い返す」の婉曲表現。
・punch A out は「Aを殴り倒す、殴って気絶させる」。or even(それどころか〜さえ)で段階を上げている。
・この文の内容が、次の第13文(下線部(2))で省略される部分そのものになる。
show A to the door Aを戸口まで送る、体よく追い返すpunch A out Aを殴り倒すor even 〜 それどころか〜さえ
第13文下線部(2):問2で省略補充のうえ和訳
You can be sure he would.
S=You / V=can be / C=sure / その後ろに接続詞 that が省略された名詞節=he would(代動詞。would のあとに show Barretto to the door, or even punch him out が省略)
(カヴィレーリ氏がバレットを戸口へ送り出す、いやそれどころか殴り倒しさえするであろうことは)間違いないと断言していい。
・問2はこの省略を補って訳す問題。would のあとに省略されているのは、直前の第12文の述部 show Barretto to the door, or even punch him out。したがって he would = he would show Barretto to the door, or even punch him out.
・繰り返しを避けるために助動詞だけを残して後ろを省く用法(代動詞・述部省略)。Yes, I will. と同じ仕組み。
・You can be sure (that) 〜 は「〜は確実だ、〜と思って間違いない」。You は一般の人を指す総称用法で、訳出しなくてよい。
・答案では「彼が」で済ませず、省略された動作(追い返す/殴りかかる)を必ず書き出すこと。それが設問の要求。
be sure (that) 〜 〜だと確信しているwould (代動詞として)そうするだろう
第14文
This may serve to explain why, on that Sunday afternoon in May, I was obeying all posted speed limits, as we headed southward on Route 95.
S=This / V=may serve / 不定詞=to explain / O=why 節(S=I / V=was obeying / O=all posted speed limits)/ 挿入=on that Sunday afternoon in May / 従属節=as we headed southward on Route 95
以上のことが、あの5月の日曜の午後、95号線を南へ向かって走りながら、私が掲示された制限速度をことごとく守っていた理由の説明になるかもしれない。
・serve to do は「〜する役に立つ、〜する働きをする」。This may serve to explain 〜 で「これで〜の説明がつくだろう」という書き言葉的な言い回し。
・why 節の主語 I の前に、副詞句 on that Sunday afternoon in May が割り込んでいる。why の直後に副詞句が来ても節の構造は変わらない。
・was obeying は過去進行形。「(そのとき)ずっと守り続けていた」という一時的・意識的な行為を表す。習慣的にそうしているのではないことが進行形から読み取れる。
・posted は「掲示された、標識に出ている」。
・問4(お)の根拠となる箇所。「その日は制限速度を守っていた」=ふだんは守っていない、という含意。
serve to do 〜する役に立つobey (規則などに)従う、守るposted 掲示されたspeed limit 制限速度head southward 南へ向かう
第15文問4(お)の根拠
Jenny, who had come to enjoy the pace at which I drove, complained at one point that I was going forty in a forty-five-mile-an-hour zone.
S=Jenny / 非制限用法の関係詞節=who had come to enjoy the pace at which I drove(前置詞+関係代名詞 at which の先行詞は the pace)/ V=complained / 副詞句=at one point / O=that 節(S=I / V=was going / 副詞=forty in a forty-five-mile-an-hour zone)
ジェニーは、私が出す速度を楽しむようになっていたのだが、時速45マイル制限の区域を40マイルで走っているじゃないの、とあるとき文句を言った。
・had come to enjoy は過去完了。complained(過去)よりも前の時点までに「楽しめるようになっていた」という完了・結果を表す。come to do は「〜するようになる」。
・the pace at which I drove = the pace(which)I drove at。速度は at で表すので前置詞は at。
・at one point は「ある時点で、道中の一度」。
・going forty は go + 速度で「時速40(マイル)で走る」。forty-five-mile-an-hour はハイフンでつないで一つの形容詞にしているので mile は単数形。
・制限45に対して40で走るのは遅い。つまり、ふだんのオリヴァーは制限速度を超えて飛ばしていることが分かる。ここが問4(お)(ふだんは制限速度どおりに走らない)の直接の根拠。
come to do 〜するようになるpace 速度、ペースcomplain that 〜 〜だと不平を言うat one point ある時点でzone 区域、ゾーン
第16文
I told her the car needed tuning, which she believed not at all.
S=I / V=told / O1=her / O2=(that 省略)the car needed tuning / 非制限用法の which は前の that 節の内容全体を先行詞とし、believed の目的語になっている
私は彼女に、車の調整が必要なんだと言ったが、彼女はそんな話をまったく信じなかった。
・tell A (that) 〜 の that が省略された第4文型。〈told her + S+V〉と続いたら that の省略を疑う。
・need doing は「〜される必要がある」という受動の意味を能動形で表す用法。The car needs tuning. = The car needs to be tuned.(=車は調整される必要がある)。need washing / want mending なども同型。
・which は直前の節の内容全体を受ける非制限用法。believed の目的語が欠けていることが判断の決め手。
・not at all は全否定で「まったく〜ない」。believed の後ろに置くことで「これっぽっちも信じなかった」と強く響かせている。
need doing 〜される必要があるtuning (機械の)調整、チューニングnot at all まったく〜ない
第17文
"Tell it to me again, Jen."
命令文。V=Tell / O=it / 副詞句=to me / 副詞=again / 呼びかけ=Jen
「もう一度、僕に話してくれ、ジェン」
・tell A to B(=tell B A)の形。ここでは目的語 it が代名詞なので、tell me it とは言いにくく tell it to me の語順を取る。代名詞の目的語は to を使う形が自然。
・it は「父親に電話したときのやりとり」を指す。
・Jen は Jennifer の愛称。オリヴァーが不安のあまり同じ話を何度も確認していることが、この短い命令文から伝わる。
tell A to B AをBに話す
第18文問4(う)の判定に関わる
Patience was not one of Jenny's virtues, and she refused to bolster my confidence by repeating the answers to all the stupid questions I had asked.
前半:S=Patience / V=was not / C=one of Jenny's virtues。後半:S=she / V=refused / O=to bolster my confidence / 手段=by repeating the answers to all the stupid questions(questions の後ろに目的格の関係代名詞が省略、節=I had asked)
忍耐強さはジェニーの美徳のひとつではなかったし、彼女は、私がしたばかげた質問すべてへの答えを繰り返すことで私の自信を強めてやる、などということを拒んだ。
・Patience was not one of 〜's virtues は「〜は忍耐強い人ではなかった」の遠回しな言い方。英語の常套句で、皮肉やユーモアを込めて人物評をするときに使う。
・refuse to do は「〜することを拒む」。refuse は不定詞のみを目的語に取る(refuse doing とは言わない)。
・by doing は手段「〜することによって」。bolster は注にあるとおり「強める」。
・all the stupid questions と I had asked の間に目的格の関係代名詞が省略。had asked は過去完了で、refused の時点より前を表す。
・問4(う) Jennifer is a dishonest but patient woman.(不誠実だが忍耐強い)は、この文と真っ向から矛盾する。patient が誤りなので不可。
patience 忍耐、我慢強さvirtue 美徳、長所refuse to do 〜するのを拒むbolster 強める、下支えするrepeat 繰り返す
第19文
"Just one more time, Jenny, please."
動詞のない省略文(=Just tell it to me one more time, please.)。副詞句=Just one more time / 呼びかけ=Jenny / please
「あともう一度だけでいいから、ジェニー、頼むよ」
・会話では動詞を省いて副詞句だけで用件を伝えることが多い。ここは第17文の Tell it to me が省略されている。
・Just は「ただ〜だけ」と要求を小さく見せる緩和表現。one more time(もう一回)に付いて懇願の調子を作る。
・愛称 Jen ではなくフルネームに近い Jenny を使い、please を添えることで、より下手に出ていることが分かる。
one more time もう一度just ほんの、ただ〜だけ
第20文
"I called him. I told him. He said okay."
S+V(+O)の短い平叙文を3つ並置。①S=I / V=called / O=him ②S=I / V=told / O=him ③S=He / V=said / O=okay
「電話した。話した。父さんはオーケーだと言った」
・修飾語を一切付けない3語程度の文を3つ畳みかけることで、「何度も言わせないで」といういらだちを表現している。文体そのものが感情を語る好例。
・said okay は say に引用の目的語を直接置いた口語。引用符なしで発言内容を置ける。
・この okay の意味をめぐって、以下のやりとりが展開する。
call 〜に電話するsay okay いいと言う、承知だと言う
第21文
"In English, because, as I told you and you don't seem to want to believe, he doesn't know a single word of Italian except a few curses."
省略文(=He said okay in English)。副詞句=In English / 理由節=because he doesn't know a single word of Italian except a few curses / その because の直後に挿入=as I told you and you don't seem to want to believe(様態の as 節)
「英語でね。だって、これは前にも言ったし、あなたはどうも信じたくないみたいだけど、父さんは悪態のいくつかを別にすれば、イタリア語なんて一言も知らないんだから」
・冒頭の In English は前文 He said okay を受けた省略。「(イタリア語ではなく)英語で言った」。
・because のすぐ後ろに as 節が挿入され、because 本体の主語 he まで距離がある。挿入部分をいったん外して読むのがコツ。
・as I told you は「前に言ったとおり」、様態・関係の as。
・not know a single word of 〜 は「〜を一語たりとも知らない」。single が否定を強める。
・except a few curses(悪態をいくつか除いて)は、父親を茶化す軽口。この一言で、父と娘の気安い関係がうかがえる。
・第3文で語り手が想定した「イタリア系地中海的」なステレオタイプが、実際にはあてはまらないことがここで示唆される。
as I told you 前に言ったとおりseem to do 〜するように見えるnot a single 〜 ただの一つも〜ないexcept 〜 〜を除いてcurse 悪態、ののしり言葉
第22文
"But what does 'okay' mean?"
疑問文。O=what / 助動詞=does / S='okay' / V=mean
「でも、その『オーケー』ってどういう意味なんだ?」
・what does A mean? は「Aはどういう意味か」。what は mean の目的語。
・単語そのものを主語に立てるので 'okay' に引用符が付いている。
・「承諾」を意味する最も平易な語の意味を問い返すという、不安ゆえの過剰な詮索。ここから次の皮肉につながる。
mean 意味する
第23文
"Are you implying that Harvard Law School has accepted a man who can't even define 'okay'?"
S=you / V=Are … implying / O=that 節(S=Harvard Law School / V=has accepted / O=a man / 関係詞節=who can't even define 'okay')
「ハーバードのロースクールが、『オーケー』の定義もできないような男を合格させたって、そう言いたいわけ?」
・imply は「(遠回しに)ほのめかす、言外に意味する」。Are you implying that 〜? は「〜だと言いたいのか」と相手の含意を突っ込む定型表現で、たいてい皮肉。
・has accepted は現在完了。「合格させて、今その状態にある」。
・who can't even define 'okay' は a man を修飾する主格の関係詞節。even が「定義すること『すら』」と皮肉を強める。
・オリヴァーがハーバード・ロースクールに進学予定であることが、この一言で読者に伝わる。第11文の「この先3年間」がその在学期間を指すことも確認できる。
imply that 〜 〜だとほのめかすaccept (入学を)許可する、受け入れるdefine 定義する
第24文
"It's not a legal term, Jenny."
S=It / V=is not / C=a legal term / 呼びかけ=Jenny
「これは法律用語じゃないんだよ、ジェニー」
・It は 'okay' を指す。前文で持ち出されたロースクールという文脈を逆手に取り、「法学部で習う語ではないのだから、定義できなくても当然だ」と切り返している。
・legal term は「法律用語」。オリヴァーの弁明であると同時に、二人の応酬が続いていることを示す。
legal 法律の、法律上のterm 用語
第25文
She touched my arm.
S=She / V=touched / O=my arm
彼女は私の腕に触れた。
・touch A on the arm という言い方もあるが、ここは touch my arm と直接目的語で身体部位を取る形。
・言葉ではなく仕草で示された和解・励まし。直前まで言い合いをしていた二人の関係が一瞬で和らぐ。
・短い一文で場面の空気を切り替えるのが、この作家の語りの特徴。
touch 触れる
第26文
Thank God, I understood that.
独立的な感嘆句=Thank God(=I thank God の省略)/ S=I / V=understood / O=that
ありがたいことに、その意味だけは私にも分かった。
・Thank God は「やれやれ、ありがたい」という決まり文句。祈願の形が残った表現で、主語 I が省略されている。
・that は前文の「腕に触れる」という仕草を指す。
・「'okay' の意味は分からないが、この仕草の意味は分かる」という自嘲的なユーモア。前後2文はセットで読むこと。
Thank God ありがたいことに、やれやれunderstand 理解する
第27文
I still needed clarification, though.
S=I / V=needed / O=clarification / 副詞=still / 文末の though=副詞「けれども」
とはいえ、私にはまだはっきりさせておきたいことがあった。
・文末の though は接続詞ではなく副詞で、「でも、とはいえ」。however と同じ働きで、口語では文末に置くのが普通。
・clarification は clarify(明確にする)の名詞形。「説明、明確化」。
・仕草で安心しかけたが、それでも不安が残る、という心の揺れ。
still それでもなおclarification 明確化、説明though(文末) とはいえ、でも
第28文
I had to know what I was in for.
S=I / V=had to know / O=what I was in for(間接疑問。what は前置詞 for の目的語)
私は、自分がこれから何に巻き込まれようとしているのかを知っておく必要があった。
・be in for 〜 は「(好ましくないこと)に直面することになる、〜を覚悟しなければならない」。We're in for a storm.(嵐が来そうだ)のように使う。
・what I was in for は前置詞 for の目的語が疑問詞になって前に出た形。文末に前置詞が残る点に注意。
・had to は「〜しなければならなかった」。ここでは義務というより、心情としての必要。
be in for 〜 〜に直面することになる、〜を覚悟するhave to do 〜しなければならない
第29文波線部(a):問3
"'Okay' could also mean 'I'll suffer through it.'"
S='Okay' / V=could also mean / O='I'll suffer through it.'(引用された文がそのまま目的語)
「『オーケー』は、『まあ我慢してやるか』という意味にもなりうるじゃないか」
・could は可能性を表す助動詞。「〜ということもありうる」。断定を避けた推量。
・suffer through 〜 は「〜を(つらいと感じながら)最後まで耐え抜く」。through が「最初から最後まで通して」を表し、我慢して切り抜けるニュアンスになる。
・波線部(a)の言い換えを選ぶ問3。「苦しみながら耐える」の核心は endure(耐える)。したがって (い) I'll endure it. が正解。
・(あ) in danger(危険にさらされる)、(う) sick(病気になる)は suffer を「苦しむ・病む」と取り違えた誤り。(え) not be interested は「無関心」で、我慢するという要素がない。
could 〜でありうる(可能性)suffer through 〜 〜を耐え抜く、我慢して切り抜けるendure 耐える、我慢する
第30文
She found the charity in her heart to repeat for the hundredth time the details of her conversation with her father.
S=She / V=found / O=the charity(in her heart は charity を修飾)/ 不定詞=to repeat(charity を修飾する形容詞用法)/ repeat の目的語=the details of her conversation with her father(副詞句 for the hundredth time が先に置かれている)
彼女は、父親との会話の一部始終を百度目に繰り返してやるだけの寛容さを、その胸のうちに見つけ出した。
・find the charity (in one's heart) to do は「〜してやるだけの情け深さを持つ」。find it in one's heart to do(〜する気持ちになる)という慣用表現の変形。
・for the hundredth time は「百度目に」=「何度も何度も」の誇張表現。
・repeat の目的語 the details 〜 が長いため、副詞句 for the hundredth time が動詞の直後に置かれている(end-weight)。
・第18文で「答えを繰り返すことを拒んだ」ジェニーが、腕に触れたあとで折れる。二人の関係の温かさを示す転換点。
charity 寛容さ、思いやりfor the hundredth time 百度目に、何度もdetails 詳細、一部始終conversation with 〜 〜との会話
第31文
He was happy. He was.
①S=He / V=was / C=happy。②S=He / V=was(補語 happy が省略された代動詞的用法)
父さんは喜んでいた。本当に喜んでいたのよ。
・2文目は補語 happy を省き、be 動詞だけを残して強調する口語表現。He REALLY was. の含意で、話し手が念を押している。
・書き言葉では He was, indeed. などに相当する。訳では「本当に」「確かに」などを補うとよい。
・以下、ジェニーが語る父の反応が過去完了(had never expected / had then warned)で続く。この2文が現在の視点、そこから時間をさかのぼる構成になっている。
happy 喜んでいる、うれしい
第32文問4(あ)の根拠
He had never expected, when he sent her off to Radcliffe, that she would return to Cranston to marry the boy next door (who by the way had asked her just before she left).
S=He / V=had never expected / 挿入=when he sent her off to Radcliffe / O=that 節(S=she / V=would return / 目的の不定詞=to marry the boy next door)/ 括弧内=the boy next door を先行詞とする非制限用法の関係詞節
父さんは、私をラドクリフに送り出したとき、私がクランストンに帰ってきて隣の家の男の子と結婚するなんて、思ってもみなかったの(その子はね、ちなみに私が発つ直前にプロポーズしてきたのよ)。
・had never expected は過去完了。ジェニーが語っている時点(過去)よりさらに前を表す。
・expected の目的語 that 節の前に when 節が挿入されている。長い目的語を持つ動詞では、副詞節が割り込むことがよくある。読むときは that を探すこと。
・send A off to B は「AをBへ送り出す」。Radcliffe はハーバードと提携していた女子大学で、ジェニーの進学先。
・the boy next door は「隣の家の男の子」=地元の幼なじみ。
・by the way(ちなみに)は括弧内の脱線を導く。had asked her は「(結婚を)申し込んでいた」=プロポーズ。
・問4(あ) 「父はかつて、彼女がクランストンに戻って結婚することはないだろうと考えていた」は、この文の had never expected that she would return to Cranston to marry 〜 と一致する。
expect that 〜 〜だろうと予期するsend A off to B AをBへ送り出すthe boy next door 隣の家の男の子、幼なじみby the way ところで、ちなみにask(婚約を) 結婚を申し込む
第33文
He was at first incredulous that her fiancé's name was really Oliver Barrett IV.
S=He / V=was / C=incredulous / 副詞句=at first / 形容詞に続く that 節(感情・判断の原因内容を示す)=that her fiancé's name was really Oliver Barrett IV
父さんは最初、私の婚約者の名前が本当にオリヴァー・バレット四世だなんて、なかなか信じてくれなかった。
・be incredulous that 〜 は「〜ということを容易に信じない」。sure / afraid / glad などと同じく、形容詞の後ろに that 節を取る型。
・at first は「最初は」。後に態度が変わったことを含意する。
・Oliver Barrett IV(四世)は代々続く名家の名。ローマ数字の IV は the Fourth と読む。庶民の菓子職人からすれば、その名を名乗る青年が娘の婚約者だという話は冗談のように響く。
・第5文「私に金がない」との落差が、この小説の中心にある皮肉。名門の名を持ちながら、父と絶縁して無一文なのである。
at first 最初はincredulous 容易に信じない、疑わしげなfiancé 婚約者(男性)really 本当に
第34文
He had then warned his daughter not to violate the Eleventh Commandment.
S=He / V=had … warned / O=his daughter / 不定詞(否定)=not to violate the Eleventh Commandment / 副詞=then
それから父さんは、娘に、第十一戒を破ってはならないと戒めたのだった。
・warn A not to do は「Aに〜しないよう警告する」。不定詞の否定は not を to の前に置く。
・had warned は過去完了で、第32・33文と同じ時間帯の出来事を並べている。then は「そのあとで」。
・the Eleventh Commandment は注のとおり「絶対に守らなければならない暗黙のルール」。旧約聖書のモーセの十戒(the Ten Commandments)に「第十一の戒め」を勝手に付け足す言い回しで、家庭内の掟をもったいぶって言う冗談。
・その中身は次の文で明かされる(=父を欺くな)。
warn A not to do Aに〜しないよう警告するviolate (規則を)破る、違反するcommandment 戒律、掟
第35文
"Which one is that?" I asked her. "Do not deceive your father," she said.
①引用文=Which one is that?(S=that / V=is / C=Which one)/ 伝達節=I asked her。②引用文=命令文 Do not deceive your father / 伝達節=she said
「それはどれのことだい」と私は尋ねた。「父を欺くなかれ」と彼女は言った。
・Which one は the Eleventh Commandment の中身を尋ねている。one = commandment。
・Do not deceive 〜 と、短縮形 Don't を使わずに書くのは、聖書の戒律(Thou shalt not 〜)を模した荘重な言い回しにするため。訳も「〜するなかれ」と古めかしく寄せると雰囲気が出る。
・deceive は「欺く、だます」。cheat(ずるをする)より「事実を偽って信用させる」に近い。
・この「父を欺くな」という掟が、この場面の主題(正直に金がないことを打ち明けられるか)と響き合っている。
Which one どれ、どちらdeceive 欺く、だます
第36文
"Oh." "And that's all, Oliver. Truly."
①間投詞のみ=Oh。②S=that / V=is / C=all / 呼びかけ=Oliver / 副詞=Truly(一語文)
「ああ」「それで全部よ、オリヴァー。本当に」
・Oh. の一語で、拍子抜けと安堵が同時に表されている。身構えていた「第十一戒」が拍子抜けするほど素朴だったため。
・That's all. は「それで全部だ、それだけだ」。ここでは「父が言ったのはそれだけ」。
・Truly. は Truly, that's all. の省略で、念押し。ジェニーが繰り返し保証していることが分かる。
That's all. それで全部だtruly 本当に、まことに
第37文
"He knows I'm poor?" "Yes."
①S=He / V=knows / O=(that 省略)I'm poor(語順は平叙文のまま、上昇調で疑問を表す口語)。②応答=Yes.
「僕が貧乏だってこと、お父さんは知ってるのか」「ええ」
・語順を変えずに文末を上げて疑問にする、会話特有の言い方(declarative question)。確認や驚きを含む。
・knows のあとに接続詞 that が省略されている。
・ここから「貧しさを父はどう思うか」という、オリヴァーの最大の不安が短い応酬で処理されていく。
poor 貧しい
第38文
"He doesn't mind?" "At least you and he have something in common."
①S=He / V=doesn't mind(目的語省略の口語的疑問)。②副詞句=At least / S=you and he / V=have / O=something / 副詞句=in common
「気にしないのか」「少なくとも、あなたと父さんには共通点がひとつあるってことよ」
・mind は「気にする、嫌がる」。ここでは目的語(that I'm poor)が省略されている。
・have something in common (with 〜) は「(〜と)共通点がある」。in common は「共通して」。
・その「共通点」とは、言うまでもなく「金がないこと」。直接そうと言わずに笑いに変えるのがジェニーの話法で、第2文の outlaws の冗談と同じ調子。
・you and he と主格の he を使う点に注意(口語では you and him も使われるが、書き言葉では主格)。
mind 気にする、嫌がるat least 少なくともhave 〜 in common 〜という共通点がある
第39文波線部(b):問3
"But he'd be happier if I had a few bucks, right?" "Wouldn't you?"
①仮定法過去。主節=he'd(=he would)be happier / 条件節=if I had a few bucks / 付加=right? ②省略された否定疑問=Wouldn't you (be happier if you had a few bucks)?
「でも、僕にいくらか金があれば、お父さんはもっと喜ぶんだろ?」「あなただってそうでしょ?」
・he'd be happier if I had 〜 は仮定法過去(現在の事実に反する仮定)。had は過去形だが意味は現在。
・波線部(b) Wouldn't you? は、直前の文の述部をそっくり引き継いだ省略。補えば Wouldn't you be happier if you had a few bucks? となる。
・よって問3(b)の正解は (う) Wouldn't you be happier if you were wealthier?。had a few bucks を were wealthier(もっと裕福なら)と言い換えている。
・(あ) は第35文の掟、(え) は第38文の in common をそれぞれ切り取っただけで、文脈がつながらない。(い) Wouldn't you want to be happier? は「幸せになりたくないか」という一般論で、〈金があれば〉という条件が落ちるため不可。
・「父の気持ち」を問うたオリヴァーに「あなた自身だってそうでしょう」と切り返し、貧しさをめぐる気の重い話題を軽くいなしている。
would be happier if S 過去形 もし〜なら、もっと喜ぶだろうに(仮定法過去)a few bucks いくばくかの金right? 〜だよね?(同意を求める)wealthy 裕福な
第40文
I shut up for the rest of the ride.
S=I / V=shut up(shut は原形と過去形が同形。ここは過去形)/ 副詞句=for the rest of the ride
私はドライブの残りのあいだ、黙り込んだ。
・shut up は「黙る」。命令形では「黙れ」と乱暴だが、自分について使えば「口をつぐんだ」。shut - shut - shut と無変化なので、時制は文脈で判断する(ここは過去の物語なので過去形)。
・for the rest of 〜 は「〜の残りの間ずっと」。
・言い返せずに黙るという結び。ジェニーの一言に完全に打ち負かされた、という締めくくりで、二人の力関係と愛情の質を一文で示している。
shut up 黙る、口をつぐむthe rest of 〜 〜の残りride (車などに)乗ること、ドライブ
ANSWERS設問の模範解答(クリックで開く)
問1(下線部(1) the opposite が表す内容を、日本語で説明)
夫となる男が妻を経済的に養うという通常の想定とは逆に、少なくともこの先3年間は、妻となる娘のほうが夫(婿)を養わなければならなくなる、ということ。
※直前の第10文でカヴィレーリ氏が発するはずの質問「Barretto, how are you going to support her?(どうやって娘を養うのか)」が前提。the opposite はその前提の逆を指す。さらに下線部の直後、コロン以下に his daughter would have to support his son-in-law! と自ら言い換えられているので、そこを日本語にすれば答えの骨格になる。
※必ず入れる要素は〈通常は夫が妻を養う〉〈それとは逆に妻(娘)が夫(婿)を養う〉の2点。「立場が逆になること」だけでは、何と何が逆なのかが示されていないので不十分。
※at least for the next three years(少なくともこの先3年間)はオリヴァーのロースクール在学中を指す。加えれば加点要素になるが、字数指定はないので入れておくのが安全。
※別解:「男が女を養うのが当たり前という考えとは反対に、当面の3年間は、娘が結婚相手を経済的に支えることになるということ。」
問2(下線部(2) You can be sure he would. を、省略されている内容を補って和訳)
カヴィレーリ氏がバレットを戸口へ案内して追い返すであろうこと、いやそれどころか彼を殴り倒しさえするであろうことは、まず間違いないと言ってよい。
※省略されているのは、直前の第12文の述部 show Barretto to the door, or even punch him out。したがって he would = he would show Barretto to the door, or even punch him out。この補充こそが設問の要求なので、「彼はそうするだろう」で止めた答案は大きく減点される。
※show A to the door は「戸口まで送る」→「体よく追い出す」。「玄関まで案内する」とだけ訳すと、追い返す含意が伝わらないので「追い返す」まで踏み込む。
※punch A out は「殴り倒す」。or even は「それどころか〜さえ」で、程度が上がることを示す。
※You can be sure (that) 〜 の You は一般の人を指す総称用法。「あなたは」と訳す必要はなく、「〜は間違いない」「〜に決まっている」とすればよい。
※第12文が Would not 〜? という修辞疑問(=きっとそうするだろう)である点も押さえておくと、下線部が「その通りだ」と念を押す文だと分かる。
問3(波線部(a)(b) に最も近い意味の文を選択)
(a) い(I'll endure it.) (b) う(Wouldn't you be happier if you were wealthier?)
※(a):suffer through it は「つらいのを最後まで我慢して切り抜ける」。through が「初めから終わりまで通して」を表すので、核心は「耐える」。よって endure が最も近い。(あ) in danger は「危険」、(う) sick は「病気」で、suffer の語義の一部だけに引きずられた誤り。(え) not be interested には「我慢」の要素がない。
※(b):Wouldn't you? は直前の But he'd be happier if I had a few bucks, right? の述部をそのまま引き継いだ省略。補うと Wouldn't you be happier if you had a few bucks? となる。had a few bucks を were wealthier と言い換えた (う) が正解。
※(い) Wouldn't you want to be happier? は〈金があれば〉という条件節が消えており、仮定法の対応が取れない。(あ)(え) はそれぞれ第35文・第38文の語句を借りただけで、直前の発言を受ける形になっていない。
※省略された部分は「直前の文の述部をそのまま持ってくる」のが原則。(a)(b) いずれも、直前の1文に戻って読むだけで機械的に解ける。
問4(本文の内容と合致する文を二つ選択)
(あ) と (お)
※(あ)「父はかつて、彼女がクランストンに戻って結婚することはないだろうと考えていた」=第32文 He had never expected … that she would return to Cranston to marry the boy next door と一致。○
※(お)「オリヴァーはふだん、日曜の午後に制限速度で車を走らせることはない」=第14〜15文。その日は was obeying all posted speed limits(=いつもと違って守っていた)、しかもジェニーが「45マイル制限を40マイルで走っている」と文句を言うほど遅い。ふだんは速度を超えて走っていると分かる。○
※(い)「ジェニファーは父が結婚に反対すると思って心配している」×。心配しているのはオリヴァーであり、父はすでに okay と答えている(第20文)。
※(う)「ジェニファーは不誠実だが忍耐強い女性だ」×。第18文 Patience was not one of Jenny's virtues と正反対。また不誠実さを示す記述もない。
※(え)「ジェニファーは一人娘で、母親がオリヴァーとの結婚に賛成している」×。第3文に she had no mother とある。
※(か)「ジェニファーの父は将来、地中海地方に住みたがっている」×。Italian-Mediterranean syndrome(第3文)は語り手が持ち出したステレオタイプの呼び名にすぎず、移住の話は一切ない。
※二択問題は「本文の語がそのまま出てくる選択肢」ほど怪しい。(か) のように単語だけ借りて内容を作り変える型に注意すること。
出典:出典:Erich Segal, Love Story (Harper & Row, 1970)(邦訳『ある愛の詩』)より。ハーバード大学生 Oliver Barrett IV が、婚約者 Jennifer Cavilleri の父を訪ねる場面 / 2026年度〔3〕
本文(英文)は上記出典の入試問題からの引用です。構造分析・和訳・解説・語注・模範解答はすべて一般社団法人ダイヤモンド(DOKUGAKU)のオリジナルであり、学習目的で公開しています。
本文(英文)は上記出典の入試問題からの引用です。構造分析・和訳・解説・語注・模範解答はすべて一般社団法人ダイヤモンド(DOKUGAKU)のオリジナルであり、学習目的で公開しています。